『文化人・芸能人の多才な美術展』出品者の声

■画家 横尾美美さん

横尾美美さんから、作品や芸術に対するお考えなどを様々な角度から伺いました。
動植物や静物など多彩な対象を、繊細かつ色彩豊かな独特のタッチで描く横尾美美さん。今回の「文化人・芸能人の多才な美術展」には、「Le lac de cygnes a la Creme」「Les pommes rouges et la Pierre de marguerite」「Beaucoup de tournesols et pappillons et petits oiseaux」の3点の作品を出品していただきました。

Q1.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

この度は、『文化人・芸能人の多才な美術展』にご出品いただき、誠にありがとうございます。同美術展は、毎年様々な年齢層の方々にご鑑賞していただいており、その中には、芸術作品に日頃はあまり深い関わりのない方もいらっしゃいます。今回のインタビューでは、ごく一般的な質問もさせていただきますが、横尾さんご自身やその作品の魅力をご紹介したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

まず、横尾さんの作品を拝見して気がつくのは、どの作品でも対象のディテールまでしっかりと描き込まれ、色彩が鮮やかなのですが、作品の対象となっているのが、比較的身近な動植物や食物などの静物だということです。食物などでは、おいしそうなお菓子や料理もふんだんに登場して、見ていて楽しくなります。こうした作品の対象は、どのようにして選んでいらっしゃるのですか?

A1.横尾美美さん

モチ-フ選びは、選ぶというより、出会うとう感じです。 私の作品で「eat」シリ-ズと題した食をテ-マにした作品も、料理を描きたいと思って、モチ-フを探したのではなくて、たまたま、目にしたクッキングブックが、料理として、映ったではなく、自分の絵としてそこに存在していたというのが、料理を描くきっかけでした。
他の作品のモチ-フとなる対象も、どちらかというと、向こうから、やって来るという感じです。私は、能動的というより、受動的な、感性の方が強いようなので、自然に、キャッチしたものが、集まって、集まったものが、融合して、作品になっていくようです。あとは、身近なものという意味では、説明的な作品を創ろうとは思わないので、ごく身近にあるものの中に、神性な命が宿っていて、日常の中に神秘が多分に潜んでいて、そこに、意識を集中していくと、観えてくるものがあります。

Q2.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

横尾さんは、子供の頃はあまり絵を描くことはなく、大人になってから突然、描き始めたとお聞きしました。突然、絵を描き始めたのは、何かのきっかけがあったのでしょうか?月並みな質問で恐縮ですが、お父様の横尾忠則さんの影響なども、あったのでしょうか?

A2.横尾美美さん

父の影響は?という質問が、一番苦手ですね。それは、影響が、ある、無しではなくて、一番、無頓着かもしれません。影響力という面では、私より、周りの方々の方が、大きい影響を受けておられるように感じています。私自身は、申し訳ない程、頓着してないですね。絵を描き始めたのも、人は生まれた瞬間から、泣いて、精一杯、命を表現するように、常に何かを表現しながら生きているのですが、私自身は、あまり、自己表現が得意ではなかっただけに、どう表現したらいいかと、多分、長い間、模索していたのだと思います。

その中には、画家という選択肢は、なかったのですが、何でもいいから、何かを始めなければ、何にも繋がらないという思いから、手に取ったのが、絵の具でした。幸いな事に、絵の具だけは、家の中に転がっていましたから、だからといって、画家になろうとは思っていませんでした。 あくまでも、きっかけであって、そのうち別の方向への導きがきっとある思っていたのですが、そのまま、今に繋がっているので、これも、選んだというより、与えられた賜物として、受け取って、描いています。

Q3.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

今年の「文化人・芸能人の多才な美術展」のテーマは、東日本大震災の復興支援です。震災後、一年以上が過ぎましたが、その影響はますます大きくなっているように思われます。横尾さんにとって、東日本大震災の体験は、ご自身の生き方や作品に、どのような影響を与えたのでしょうか?
また、この「文化人・芸能人の多才な美術展」に来場される一般の方に向け、横尾さんから一言メッセージをお願いします。

A3.横尾美美さん

東日本大震災は、私が言葉にして、語るのは、その事自体、はばかられると思います。ただ、心を寄せ、お祈りし続ける事だけは、時が経過しても、忘れないでいたいと思います。
私自身、根底からの、回心を促された思いでした。今月の初め、被災地、陸前高田市の「希望の庭」造りという計画に参加させて頂きました。初め、瓦礫の撤去作業に参加と伺っていたのですが、瓦礫の山を見ながら、バスが、到着し目にしたのは、瓦礫ではなく、目にも鮮やかな、色彩豊かな、チュ-リップや水仙の咲き誇る、お花畑だったのです。津波で、尊い命が失われ、殆んど全てが流された、土地に、復興へ願いと、祈りが込められた、希望の庭の、美しさと、力強さに触れて、私も、無くなった土地に、希望の花を、植えられた事は、貴重な体験でした。作品創りと、重ねるならば、何もないキャンバスから、新しい生命を息吹かせて、いくことが出来れば、喜びでありますし、観て、頂く方々に、とって、希望になって頂けたら、嬉しく想います。

横尾美美プロフィール

1994年 「Tadanori & Mimi YOKOO」(SPACE YUI 東京)
1995年 初個展「Mimi YOKOO exhibition」(SPACE YUI 東京)
1996年 個展「Mimi YOKOO exhibition/eat」(AKI-EXギャラリー 東京)
1997年 個展「eat U」(SPACE YUI 東京)
1998年 個展「Mimi YOKOO EXHIBITION/eat V」(AKI-EXギャラ リー 東京)
  個展「Mimi YOKOO EXHIBITION/eat」(三菱地所アルティア ム 福岡)
1999年 「VOCA展」(上野の森美術館)
個展「Mimi YOKOO/FLEURIE」(SPACE YUI 東京)
個展「colors」(伊勢丹ファインアートサロン 東 京)
2000年 個展「Mimi YOKOO Exhibition 2000」(スペースYUI 東 京)
個展「Mimi YOKOO Exhibition」(room op8 岡山)
2001年 個展「十二支」(SPACE YUI 東京)
個展「Colour Themes」(ART SPACE感 京都)
2002年 個展「SWEET」(SPACE YUI 東京)
個展「横尾美美展」(Galeria Punto 岡山)
個展「横尾美美展」(アトリエ倫伽 高知)
2003年 個展「twin☆kle」(SPACE YUI 東京)
個展「彩-sai」(ART SPACE 感 京都)
2004年 個展「MIXED COLORS」(SPACE YUI 東京)
個展「MIXED COLORS」(Galeria Punto 岡山)
2005年 個展「One by One Show」(西脇市岡之山美術館)
2006年 個展「横尾美美展」(伊勢丹アートギャラリー 東京)
2007年 個展「横尾美美展」(南天子画廊 東京)
2010年 個展「Eclatant」(ギャラリーパンプキン 静 岡)
個展「Couleur Ressuscitee」(南天子画廊 東京)
2011年 個展「横尾美美展 MIMI YOKOO」(コウイチ・ファ インアーツ 大阪)
2012年 個展「横尾美美展」(ギャラリーパンプキン  静岡)