『文化人・芸能人の多才な美術展』出品者の声

■富安カナメさん

Q1.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

26周年『文化人・芸能人の多才な美術展』にご参加いただき、誠にありがとうございます! 今回の当美術展のテーマは、「国際交流と文化財復興支援」です。最初に、富安カナメさんから、「国際交流と文化財復興支援」について、ご意見を聞かせて下さい。

A1.富安カナメさん

この度は、お声がけ下さって有難うございます。今回の美術展のテーマである国際交流はインドにスポットを当てるということで、まずは私とインドとの関わりから説明したいと思います。
私は 4 歳から 11 歳まで 6 年間インドのニューデリーに住み、インド古典舞踊バラタナティヤムを習いました。私の家族もインドが大好きだから、インドの各州いろんな所に旅行したし、 家族とともにインドの魅力的な文化に触れて育ったのです。

その後、小学校5 年生の時に日本へ帰国しましたが、インド舞踊が忘れられなくて自宅の畳の部屋を使って練習を続けました。
その頃からインドと日本の文化を照らし合わせ、練習サリーと和室って何故かしっくりくるなとか、南インドの歌の節回しがなんだか日本の民謡のようでノスタルジックだとか、 日本とインドの親和性を感じるようになっていたと思います。
なかでも印象的だったのは、東中野の梅若能楽堂でバラタナティヤムの衣装を着て撮影をした時のこと。2つの文化が違和感なく調和すると感じました。

Q2.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

今回は、そうした幼少期の想い出とともに作品を公開していただけるのですよね。続いて、作品についてご説明ください。

A2. 富安カナメさん

作品タイトル「七五三の着物(写真)」

分かりました!今回は「七五三の着物(写真)」と「インドの踊り子の面」を出品します。まず、「七五三の着物(写真)」は、インドの「バラーナスシルク」の布地で仕立てた着物をインドで撮影をしたもの。 半衿にはジャイプールのブロックがプリントされ、帯揚げは同じくジャイプールの絞り染め、帯留はグジャラートの刺繍とミラーワークが施されています。

そして、写真の中に写っているのは子どもの頃の想い出の品々ばかり。 例えば、写真の一番下にある緑色の箱は、私のお気に入りのメッセージがペイントされたトランク。ちょっと見えにくいですが、「use diaper at night」(夜はオムツ使え)と書かれています。 これは、インドのトラックに「use dipper at night」(夜間照明を使え)と書かれていることが多いのですが、それをもじったもの。面白いでしょう。

他にも、1番上に写っている赤い棚はドールハウス。私がどうしてもシルヴァニアファミリーが欲しいと大騒ぎしていたら、親が代わりにシヴァファミリーだと言ってインドの神棚を使ってくれました。 凄く嬉しかったのですが、シヴァ神がいません…。

作品タイトル「インドの踊り子のお面」

また、もう一つの「インドの踊り子の面」は、ふくべ細工で作ったお面を出品します。これは小学 6 年生の修学旅行先の日光で作ったもの。
ふくべ細工は、かんぴょうの原料の夕顔の実を使った民芸品で、インドの踊り子の顔を書いてみたら、まるで現地で買ってきたインドのハンディクラフトか土産物のように馴染み、 不思議と懐かしい感じに仕上がりました。

Q3.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

富安さんの想い出が詰まった作品ですね。美術展にご来場されるお客様には、ぜひ注目していただきたいポイントです。今後の美術展の開催に対して、どのようなことを期待しますか。

A3.富安カナメさん

今後も継続していただくことを期待します。参加者の方々を見るとすごい顔ぶれで驚き、その繋がりと企画を26年続けてこられたアートプロデューサーの松岡久美子さんの活動はとても エネルギッシュでパワフルだなと感じました。個人的に気になっているテーマは「伝統」。インドと日本には、有形無形を問わず、それぞれ「伝統的」なものが沢山あります。
各地方にそれぞれの伝統・伝承があるし、最近出来た新しい伝統も古い伝統がある。これから作られていく伝統もあるでしょう。次に、国際交流がテーマになるなら、こうした「伝統」について 考えを巡らせてみるのも楽しいのではないでしょうか。

Q4.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

貴重なご意見ありがとうごました。今後も当美術展にご参加いただきたいと思っていますので、次に出品するならどんな作品を公開していただけますか。もしくは、どんな作品制作にチャレンジしてみたいとお考えでしょうか。

A4.富安カナメさん

『文化人・芸能人の多才な美術展』のもう1つのテーマである文化財復興支援に関連するような作品です。 例えば、2014 年にネパールで大地震が起こったちょうどその時、インドのバンドと一緒に撮った写真を紹介してみたい。 また、国際文化交流がテーマになるなら、特にインドと日本の文化の融合は私の活動に結びついたテーマでもあるので、コットンサリーの着物を現物と一緒に展示してみたいですね。

Q5.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

ありがとうございます。最後に、ファンの方々へ向けたメッセージをお願いします。

A5. 富安カナメさん

ヒップホップやバレエ、フラダンスなど、人気の習い事は沢山ありますが、これからはインドの古典舞踊やボリウッドダンスを始めとしたコンテンポラリーも注目されていくと思うので、 ぜひ多くの方にインド文化とインド舞踊に興味を持っていただけたらと思います。そして一周回って日本文化の良さや面白さに気づいたという経験も、皆さんとシェアしていきたいですね。

■富安カナメ プロフィール

南インド古典舞踊バラタナティヤム舞踊家/富安カナメ
高校2年生の16歳、南インド舞踊バラタナティヤムの舞踊家。父親の仕事でインドに滞在中、4歳からインド舞踊を習い始め、 国民栄誉賞パドマブーシャン受賞者Guru.Dr.Sarojya Vaidyanathanに8歳から弟子入りし、2018年の11歳の誕生日にデリーでソロデビュー公演を行う。 現在は日本をベースに国内外のイベントなどに出演し、NHK Eテレ「沼にハマってきいてみた」でインド舞踊を紹介、テレビ朝日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」で インド博士ちゃんとして出演、インスタグラム@kaname_tomiyasuで活動を発信するなど若い世代に届くインド文化を紹介。