『文化人・芸能人の多才な美術展』出品者の声

■松田悟志さん

Q1.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

最初に、当美術展へご参加いただき、誠にありがとうございます。当美術展は、文化財保護・救済活動支援チャリティーを趣旨とし、今年のテーマは「顔は人生のキャンバス」 としました。こうした趣旨やテーマについて、どのようなご意見をお持ちでしょうか。

A1.松田悟志さん

個人の芸術活動が文化財や救済活動の保護につながって行くという取り組みはとても素敵なことですね。いつまでも続いてほしいです。
今年のテーマについてですが、自分自身がある程度の年齢になってくるに連れて、人の「顔」というものに、いかにその人の人生が刻まれているかということに意識が行くようになりました。それは日々の集積を描きつけた、まさにキャンパスのような存在だと。
その人がみなそれぞれにお持ちの「顔」をベースにして、時に笑いが添えられたり、時に怒りの色に染まったり、このような時代ですから端的に表現できないような複雑な表情を描き出す日もあるでしょう。
僕の今回の作品はそういうみなさんのお顔に、少しの元気を、そして少し上気したようなあたたかい色合いを足すことができたらという想いで描かせていただきました。
『力の大樹』というタイトルに込めた「力」とは、この樹木そのものが持っている力というより、見て下さった全てのみなさまと作品との間でシェアするエネルギー体のようなイメージで名付けました。
みなさんの『人生のキャンパス』をより美しく彩る一助になれればと願っています。

Q2.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

続いて、出品作品について、制作のエピソードをお話ください。作品へのこだわり、制作上で苦労した点などの説明をお願いします。

A2. 松田悟志さん

僕はもともとライフワークとして植物をモチーフにした「ボールペン画」を描いていました。ハガキよりひと回り小さいようなサイズから、A 4くらいまで。そうした比較的小さな作品に細かなタッチを入れることで、中に中にと作品世界を拡げて行くというのがこれまでよく取っていた制作手法なのですが、今回は新たなチャレンジとして「20号キャンパスにアクリル絵の具で描く」ことに挑みました。
『力の大樹』というタイトルに込めたのは「見た人が元気になるような絵に」という想いです。ある人には心臓に見えたり、ある人には太陽や燃え盛る炎に見えたり、そこに横向きの鳳凰が隠れていると見る方もいれば、幾つもの矢印が天を指していると捉える方もいらっしゃるかもしれません。そのすべてを包括して、見てくださった方に「陽」の力が湧き出すように、わずかでもその手助けができるような作品作りをというのがこの作品の最も重要なテーマです。

Q3.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

当美術展にご参加いただいた想い、期待していることなどをお話いただけますか。

A3.松田悟志さん

俳優という仕事をしながら、こうして芸術活動をしていると「(芸術を愛することを)どこまで打ち出して行くべきなのか」という葛藤に駆られることがよくありました。本業の演技とは直接的に関係がないからです。
それが変化して来たのは、くしくもコロナ禍がきっかけでした。俳優の仕事が目の前からすべてなくなって初めて「自分は何のために生きているのか」というところに立ち返ることができた。そして思い至ったのが「誰かの人生に少しでも力を与えられるような生き方がしたい」ということでした。それを表現するために僕が選んでいたのが「俳優」という仕事だったんだなと。
その気持ちに気がついてからは毎晩ライブ配信をし、その中で絵を描くことで「コロナ禍で疲れてしまったり、元気がなくなったらここに来てください」と言い続けました。そのことは、僕の人生の意義である「誰かの人生に少しでも力を与えられるような仕事がしたい」にもとても合っていたんですよね。
そうして胸を張って芸術に取り組むようになった僕が2021年の個展以来はじめて多くの方の目に触れられる機会をいただいたのがこの展覧会です。僕が抱いていたジレンマとも相まって、今の僕自身の生き方の姿勢にとてもフィットした展覧会に出させていただいていると実感しています。
お話をくださった松岡久美子様、そして運営に携わる全てのみなさまに感謝しています。人に見えにくいところに光を当て、多くの方の心に大切に届ける活動に深く共感いたします。

Q4.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

今後も当美術展に参加していただきたいと思っていますが、もしも次に出品するならどんな作品を公開していただけますか。もしくは、どんな作品制作にチャレンジしてみたいとお考えでしょうか。

A4.松田悟志さん

さらに大きな作品、また平面作品であり立体物でもあるような作品を目指して行きたいと考えています。具体的には樹脂で土台を造形したアクリル作品のような手法で僕の作品世界を表現して行きたいと考えています。

Q5.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

最後に、ファンの方々に向けたメッセージをお願いします。

A5. 松田悟志さん

この度は「文化人・美術展の多才な美術展」にお越しくださってありがとうございます。このような素敵な空間でこうして作品をご覧いただけたこと、感無量でございます。
これからも誰かを元気にできる作品作りを目指して、日々芸術活動を続けてまいります。
このような時代ですが、しっかり抗って力強く乗り越えてまいりましょうね。 心から応援しています。

■松田悟志プロフィール

1999年、JUNONスーパーボーイコンテストに出場したことをきっかけに、美術短大在学中に三池崇史監督のドラマ、WOWOW『天然少女萬NEXT 横浜百夜編』にて俳優デビュー。その出演をきっかけに芸能プロダクションのスカウトを受け、本格俳優デビュー。
2002年、テレビ朝日系『仮面ライダー龍騎』で演じた秋山蓮、仮面ライダーナイト役で注目を集める。主な出演作に、『ごくせん』『ケータイ捜査官7』大河ドラマ『龍馬伝』連続テレビ小説『てっぱん』ほか多数。近年は『雲霧仁左衛門』シリーズなど名作時代劇への出演が多く、『三屋清左衛門残日録』では主人公・清左衛門の息子である又四郎を演じている。